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株式会社アクト・コンサルティング

経営コンサルティング

ノウハウを顧客に提供することで、差別化 付加価値向上を果たす

    ノウハウを、商品やサービスに仕立て顧客に提供することで、差別化や付加価値向上を達成することができる。
消費財メーカーの中には、流通業に対し、店舗の棚にどのように商品を並べれば売り上げが上がるかというノウハウを蓄積・提供し、自社の存在価値を高めているところがある。また、顧客の商品活用ノウハウを収集し、これを大量に蓄積・発信することで、高い信頼のブランドイメージを確立しているところがある。
建設会社や機械メーカーの中には、実績から横展開できるノウハウを抽出し、これを次の提案に活用し、またこれらノウハウ提供のために自社製品を改良し、拡販を行っているところがある。

顧客に提供できるノウハウは、以下の2つの領域から探し出すことができる。

  1. 商品活用ノウハウ
    商品の使い方に関するノウハウを持っているかどうかによって、顧客が獲得する価値が大きく異なることがある。建物や機械、情報システムなどで、特にこの傾向は強い。
    例えば、売れ筋を把握することができる情報システムの場合を考えてみよう。このシステムを導入した、ファッション関連商品を販売している顧客では、ファッションの先端を走るオピニオンリーダー、ファッション関連雑誌の編集者などを集めたアドバイザリー会議を開き、システムから得られる売れ筋や顧客動向に関わる情報をこの会議に示し、今後の商品政策や販売計画を検討し、成果を上げている。ここで使われているノウハウは、「市場変化が激しいファッション商品では、過去の実績を得るだけでは将来を見通せないので、それが見通せる人材を外部から招聘して、システムから得られる情報を触発材料に、将来のトレンドを読む」というものである。
    このノウハウを、情報システムとセットで販売することで、競争相手に対し差別化し、顧客提供価値を高め、勝率・利益率を向上することができる。具体的には、システムと共に、アドバイザリー会議の運営方法、外部有識者の探し方と招聘方法をまとめたマニュアルを作成・提供すると共に、会議立ち上げ・運営を支援するのである。自社だけでこのようなサービスが提供できない場合、コンサルティング会社などと連携することもできる。
    このような商品活用ノウハウは、先進の使い方をしている顧客を調査することで得られる。また、コンピューターメーカーや機械メーカー、建設会社などは、自社の販売する商品を自社でも使っていることになる。このため、自社の商品活用ノウハウをえぐり出し、自社商品に盛り込むことができる。
  2. 商品提供ノウハウ
    自社の、商品開発・生産・提供を支える各部門のノウハウを、顧客に提供することで、顧客が得る価値を増大させることができる。
    例えば、投資額が大きく、購入にリスクが伴う、個人の住宅購入、企業の機械導入、不動産投資などでは、顧客は、意思決定や関係者の合意形成に苦労する。そのような場合、有能な営業マンの中には、顧客の投資に対する不安を解消し、顧客関係者の合意形成を支援している者がいる。例えばある営業マンは、顧客意思決定者という、一営業マンが会いに行くには偉すぎる相手に恐れず会いに行き、意思決定上の不安を聞き、先行導入顧客に対してこの不安をどのように解消したか聞きに行き、結果をもとに不安を払拭することを日常行動にしている。
    そこで、このノウハウを、「意思決定・合意形成支援」というサービスとして明確化すれば、顧客への提供価値を増やし、自社を優位にできる。
    このようなノウハウは、まずえぐり出し体系化した後、ノウハウ提供を顧客に明示することが重要である。ノウハウ提供を明示しなければ、そもそも顧客には伝わらない。また、ノウハウ提供を明示することで、自社内で「必ずやらなければならない」という執着心が生まれ、ノウハウの共有やレベルアップが起きる。
    上記ノウハウは、顧客に対し、1)購買上の悩み解消、2)商品活用による成果拡大、3)商品購入活用のリスクコントロールという価値を提供する。
    例えば「売れ筋を把握することができる情報システム」の「アドバイザリー会議」は、顧客の得る成果を拡大するノウハウである。「意思決定・合意形成支援サービス」は、購買上の悩み解消のためのノウハウである。ノウハウによる顧客のリスクコントロールとは、例えば高級品の販売で、販売員に「商品使用・メンテナンスのトラブルと回避策に関わるノウハウ」を充実させ、販売やアフターフォローでこのノウハウを提供するといったことである。
    従ってノウハウの提供は、以下のマトリクスで検討することができる。

図)ノウハウ提供を検討するためのマトリクス

ノウハウの価値
ノウハウ領域
購買上の悩み解消 商品活用による成果拡大 商品購入活用のリスクコントロール
商品活用ノウハウ
商品提供ノウハウ

ノウハウの顧客提供による差別化、付加価値向上には、以下の成功要件が存在している。

  1. ノウハウを直接聞く
    大多数の企業では、ノウハウをえぐりだし、顧客に提供できるとは考えていない。実際、製品開発やマーケティング、営業の現場では、顧客の「ニーズに対応する」、「問題を解決する」という意図はあっても、「顧客や自社のノウハウを活用する」という意図は見当たらない。
    このような状況では、問題やニーズではなく、ノウハウを直接調べることが重要となる。つまり、成果を上げている具体的な事例(ファクト)と、なぜ成果が上がるかの説明(ロジック)を、それを実践している相手から直接聞くのである。
    例えば先の、「売れ筋を把握することができる情報システム」の顧客に、ニーズや問題を聞けば、分析レポートを充実させたいとか、システムのレスポンス時間を短くしたい、などという答えしか得られないだろう。ところが、システムを用いてどのような成果が得られたか。そのために、どのような工夫をしているかと問えば、「アドバイザリー会議」の話が聞けるのだ。
  2. ノウハウの価値を、購入前に顧客に納得させる
    顧客に、「変化が激しい市場では、過去の実績に加え、将来を見通せる人材をセットで準備することでトレンドを読む」というロジックだけを示しても、訴求しない。成果が上がるロジックと共に、具体的にどのような方法で、どのような成果が得られたか、事例(ファクト)を示すことが重要である。そこで、ロジックとファクトを豊富に蓄積し、これを購入前に顧客に示し、確実に成果が得られることを納得させることが重要である。
    例えば建設会社や機械メーカーの中には、自社商品導入済みの先進顧客に対し、アフターフォローの一環として調査を実施し、顧客の商品高度活用ノウハウ、問題解決ノウハウをファクトとロジックで収集し、次期提案・商品開発にフィードバックすると共に、顧客訴求力を高めているところがある。
  3. ノウハウを実現できる形に「見える化」する
    ノウハウが、成果を上げるロジックと事例(ファクト)によって説明できても、これだけでは実現できない。具体的な進め方を明記した方法論(推進プロセス、技術、チェックリストなど)や、誰もが簡単に参照できるデーターベース構築などの「見える化」が必要である。
    「ノウハウ見える化」は、ノウハウの提供者、提供を受ける顧客にとってまず重要である。また、ノウハウを実践し、そこで得られた新たなノウハウを「見える化」の上に追加することで、ノウハウを拡充・強化することが可能になる。
    例えばある消費財メーカーでは、大量の商品活用ノウハウを発信し、顧客からの信頼を獲得すると共に、顧客からのノウハウを受け入れ共有することで、他社には追従できない、大量のノウハウを確保している。
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